設計処 草庵 一級建築士事務所である「設計処草庵」 代表の建築家・中原賢二は、1993年以降自然健康住宅の草分けとして講演等を通してその普及に務めて参りました。また、特定非営利活動法人「社の極(やしろのきわみ)」の理事長として、日本の伝統職人(匠)の卓越した技術を世界へ発信する活動を行っており、 伝統的な素材や技術・文化・芸術への造詣が深く、日本古来の古神道を学び、地相・家相・風水に精通しております。ご要望があれば古式に則った地鎮祭や上棟祭を行うことも出来ます。
トップページ
プロフィール
いい家づくりの知恵
作品紹介
家づくりの流れ
設計処草庵への設計依頼のメリット
お客様の感想
無料カウンセリング予約フォーム
ご相談・お問合せフォーム
※草庵HPは
   毎週更新!

一級建築士事務所
有限会社
設計処草庵
〒530-0035
大阪府大阪市北区同心
1丁目7-13-303
TEL:06-4800-2711
FAX:06-4800-2712

↓リンク用バナー
素材いろいろ 麻
素材研究 木材
 ここ数年、健康住宅・自然住宅が話題になり、土壁や和紙、炭などの自然素材と共に木材についても見直されるようになってきました。木材といっても非常に多くの種類や特徴があり、産地や伐採する時期によっても大きく違いが出てきます。そこで今回は木材についてお話ししたいと思います。
 
[木材の構造]
 木を輪切りにすると年輪を見ることが出来ます。木は春から夏に生長し、冬には生長しません。春に育った部分(早材部)と夏から秋にかけて育った部分(晩材部)の組み合わせが1年にひとつづつでき、その一組を年輪といいます。早材部は淡色で比重が低く細胞が大きいのに対して、晩材部は濃色で比重が高く細胞が小さいです。日本のように1年の周期がはっきりとしている所に育っている木には年輪は見られるが、はっきりとした環境条件の違いがない熱帯に育っている木には、はっきりとした年輪が出来ないことがほとんどです。
 木は樹皮と内部の木材との境目の形成層と呼ばれる部分の細胞分裂によって生長します。形成層の内側の白い部分は辺材、その内側の色のついた部分は心材といい、心材は辺材よりも樹脂などの化学成分が多く、天然の防腐剤の働きをするので、腐りにくく虫も付きにくいと言われています。

[木材の特徴]
 木材は金属やプラスチックなどの他の材料と比較した場合に、生物であるために様々な特色を持っており、それが利点となり欠点にもなるのです。主な特色としては、『細胞は縦方向に長い形をしているため、縦方向は強くて乾燥にも縮まないが、横方向には弱くて乾燥すると縮む「異方向性」がある。』・『分類学上の科・属・種類の違いによって性質が異なる。』などがあります。
また、木材は光合成によって大気中の二酸化炭素(CO2)を体内に保有して生長し、伐採した後も温存し続け、木の中の固定された二酸化炭素は腐敗や燃焼がなければ大気中に放出されることはありません。したがって伐採後すぐに植林し再生産しながら二酸化炭素を蓄積し続けることが可能であり、地球の温暖化防止にはなくてはならない重要な資源なのです。


[木材の種類]
 木の種類は、世界で約2万種、日本だけで約2500種あり、このうち私達人間が利用している木は世界に数百種あり、日本には100種あまりあるといわれています。
 木材は大きく分類すると「針葉樹材」と「広葉樹材」の2つに分けられます。針葉樹とは字のごとく葉が針のように細長い木のことで代表的なものとしては、スギ・マツ・ヒノキ・ヒバ・サワラなどがあります。そして広葉樹とは平たくて巾の広い葉を持つ木のことで、ナラ・キリ・セン・クリ・ブナ・サクラなどがあります。
 針葉樹はソフトウッドとも呼ばれており、広葉樹よりも材が軟らかく見た目にも軟らかさを持っています。


[日本の木材]
 私達の住んでいる日本は、国土の六十七%を森林が占め、フィンランドに継ぐ世界第二位の森林国です。しかし戦後、安価で樹種の豊富な輸入木材や新建材の普及により国産材が使われることが少なくなってしまいました。その結果、昭和二十年代後半から三十年代にかけて植林された山の約五十%が放置林となっています。
 本来、木は育った気候風土に近いところで使う方が長持ちをします。同じ事が木材だけでなく石や土、和紙や瓦などにも言えます。身近な国産材を使うということは、私達日本人の伝統と文化を伝えていく上では重要なことなのです。
 日本の木材の代表的な産地としては広葉樹は北海道に多く、針葉樹ではヒノキは高知・熊本・岐阜・静岡、スギは徳島・鳥取・大分・静岡・秋田、ヒバは青森・石川などがあげられます。スギは地域品種といって、もともとその地域に自生していたものが数多くあり、それぞれ違う特性や表情をもっています。用途としては、建築材・家具・包装・樽・造船など広範囲で使用されています。ヒノキは耐腐食性・耐久性があり、狂いも少なく独特の香りと光沢を持っており、建築材・家具・彫刻など高品質な材料として多くの用途に使用されています。ヒバは耐久性に優れ独特の香りを持っています。ヒバには抗菌性のあるヒノキチオールという物質が含まれており(ヒノキには含まれていない)、耐朽性・防蟻効果があることから水廻りや土台・外壁などに使用されています。その他、キリ・ナラ・サワラ・カラマツなど多くの木材が建築や家具など私達の生活のあるゆるところで使用されています。


[建築材としての木材]
 木材は先程も述べたように私達の身近で広く使用されています。その中でも最近問題となっているのが、住環境に使用されている建築材としての木材です。木造建築物を例にあげると、柱・梁・土台などの構造材や床・壁・天井などの仕上げ材、そして建具や家具などあらゆるところに使用されています。しかし、科学や技術が発達するにつれて木材の工業化が進み、集成材や合板など安価で扱いやすい新建材は無垢木材の欠点(傷が付きやすい、コストが高くなる、反りや割れが生じる等)を補う画期的な木材として使用されてきました。
 しかし、ここ数年健康住宅や自然住宅が注目され始めると新建材が環境と人体に悪影響を与えるということが実験結果から明らかになり、一方で自然素材である無垢木材が見直されるようになってきました。
 木材はそれぞれ違った特性を持っており、その特性を生かして使用される場所が決められます。例えば、水廻りや土台・外部には耐久性・防腐効果のあるヒバやヒノキ(防蟻効果もある)、床材には調湿機能があり軟らかく足にやさしい感触与えるスギやヒノキ等が使われています。その他木材は様々な特色を持っているため、用途も広範囲に及びますが、いくら自然素材が安心だと言われていても人によってはヒバのようにアレルギーの原因となるものもあるので注意が必要です。用途と木材の相性も大切ですが、それを使う人との相性も考慮するのも大切なことです。
 木材は呼吸しているため、年月が経つとともに反りなどによって狂いが出てきたり、太陽の光によるヤケや日常生活でつく汚れや傷も避けられません。しかしそれが本来の木材なのです。もしもそのようなことが気になるのであれば、最近はメーカーでも健康に配慮した建材の研究も進んでいるので、部分的に環境や人体に影響を及ぼさないような集成材や突き板などを使用するという方法もあります。

 現在、建築材に使用される木材は無垢木材・集成材や合板などを始めとしてたくさんの種類があります。無垢木材の中でも最近は節のあるものもよく使われるようになってきていますが、死に節でなければ特に問題もなく
コストダウンをはかることが出来ます。
 
これだけ多くの種類があるからこそ、本当に環境や自分にあったものを選び、残していく必要があるのではないでしょうか。


イラスト  吉川佳子
クリックすると、バックナンバーをご覧になれます。 →     「炭1」
         
                          「炭2」
                                    「麻」

        
081111
Copyright © SOANN all rights reserved.